今回のマンツーマンレッスン、受講いただいたのは松江市白潟本町にあるギャラリー 「SOUKA草花」のオーナー、女鹿田 恵美さん。
メインテーマは鉢の植えかえです。
「元気を無くした鉢の植替えをして、店内のディスプレイとして使えるようにしたい。」
「ギャラリーのアクセントとなるようにテラスの雰囲気を変えたい。」
という御依頼でした。そして今後は自分でも植え替えが出来るようになりたいとのこと。
松江市中心部にあるギャラリーはなんと大正13年に建てられたビルの4階。
といいますか、正確には昭和初期に屋上に増築された木造の建物です。
おそらく当時は周囲に高い建物はなく、松江城はもちろんのこと宍道湖の夕日、松江市内全体を見渡せたことでしょう。
店内に入り目線を上に向けると、緩やかな曲線で仕上げられた天井に気が付きます。
いわゆる船底天井で昭和の趣を感じさせられます。
現在は主に生活にまつわる工芸品や身の回りの小物を扱っておられ、企画展も行っておられます。
植え替えの用土について
講習はまず用土の説明から始まりました。
普段は弊店のオリジナルハーブ用土や既製品の土を使っておられるそうです。
基本的にはそれでOKですが、より元気に育てるためには植物や環境によって配合を変えると、なお自分に合った育てかたが出来るようになります。
ブレンドは赤玉土と腐葉土を一対一で配合したものをベースにスタートします。
これにピートモス、パーライト、微生物肥料などを適量加えていきます。
より森の土に近付けたいのであれば、腐葉土の割合を増やす、
酸性が好みの植物であれば、ピートモスを増やす、
水はけや通気性の改善にはパーライトを増やすなど用途によってブレンドを変えていきます。
肥料に関しては、実際に使ってみて使いやすいものでOK。液肥でも良いです。
ただし、有機肥料を使う場合は、鶏糞など種類によっては肥料分が強いので使用の際はご注意を。
ちなみにチッ素分が多いと葉の成長は促進されますが、花はやや咲きにくくなりますから、花を楽しむ場合には要注意です。
用土づくりをする際は、肥料分は少なめにするのが基本です。足りなければ後でいくらでも追加できますから・・・。
等々ひととおり説明した後、実際に用土を配合していただきました。
植えかえと剪定のレッスン
では、植替えの実践です。まずはニオイゼラニウムから。
以前、当店で買われたスノーフレークゼラニウム。斑入りの葉がきれいでコンディションはまずまずの様子です。ただし、ちょっと伸びすぎですかね~。
ゼラニウムは放っておくと、夏にどんどん伸びてこんな状態になってしまいます・・・。形を整えるため、定期的に切り戻すとよいでしょう。
剪定後、鉢から取り出してみると根詰まりというほどでもありません。
一見良さそうに見えましたが、根の張りが弱いという事は十分に成長しきれていない証拠!?。
肥料が足りなかったか、環境が悪かったか、それとも用土が合わなかったのか?
傷んだ根を軽く取り除き、植替えます。
ポイントは土を入れ過ぎないようにすること。水やりをしたとき、鉢の上部に水がある程度溜まって、それからじわっとしみ込んで行くための余裕が必要です。この余裕を水代(みずしろ)とか、ウオータースペースなどといいます。もちろん、土をいれすぎると水やりの際、土が流れ出しやすくなります。それは論外ですが。
次は、ナスタチウム。ちょっと疲れた様子です。
根があまり強くないので、植替えには注意が必要。
多年草なのですが、暑さに弱く寒さに弱いとかなりデリケート。どうやら夏をなんとか越えてくたびれているのでしょう。
ナスタチウムは夏越し、冬越しをきちんとすれば多年草としても楽しめる植物です。ただ、結構大変なので一般的には一年草として扱われる事が大半です。でも、好きな色合いのナスタチウムはきちんと管理して長く楽しみましょう。
植替えの途中、ある生き物を発見!!
「コガネムシ」の幼虫です。根を食べてしまうので、これが疲れの原因だったのでしょう!結局、鉢の中に3匹も見つかりました。一株でもよく生き残っていたものです。
続いて、今回一番気になっていた!と仰る、コニファーです。
屋上で何年も強い風に吹かれたためか、斜めになっている上に、葉もすこし弱々しい感じです。
案の定、根がぎっしり詰まっていて、取り出すのにも一苦労です。
基本的に植替えの際には、古い根も整理するのですが、根は全体を切らないほうが安心です。特に大きい株は半分ぐらいはそのまま残しておくほうが安心です。
今回も一緒に植えてあったローズマリーを鉢から分ける時、相当根を切らねばなりませんでエした。どうしても多めに根を切らなければならない場合は、剪定をして株への負担を減らしましょう。また、根や枝の剪定は植物に対し良い刺激となり、発根及び新芽の成長を促します。
このあと、オリーブなどの植替え、寄せ植えしていたものを分けて植え直していきました。
また、寄せ植えのポイントとしては、あまり詰めて植えないこと。ちょっと物足りなさを感じるくらいにしておき、植物の成長を楽しみましょう。
最後に、ローズマリー。サンタバーバラローズマリーがずいぶん成長して、まるで盆栽のような風情のある姿になっています。株元のアイビーが伸びすぎてしまっていたので、ローズマリーもアイビーも剪定して植え直しました。新しい葉を出すためにも植えかえ、剪定は時々行うほうがよいでしょう。
また、ここはお客様が訪れる場所。「きちんと手入れをしておられる」という印象を与えるためにも傷んだ葉や花殻をこまめに剪定することが、見せる植物の管理ポイントということをお伝えいたしました。
ひととおり植替えが終わったあと、たっぷりと水やりです。
鉢底から水が出てくるまでしっかりとあげましょう。
レイアウト変更
レッスンを行ったベランダは、宍道湖の湖面を望む素敵な場所です。でも、いままでは棚や椅子、ディスプレイ用品などの置き場状態。ギャラリー内からも見える場所なのに、「見ないでー」という感じだったそうです。せっかくのスペースを活かさないのはもったいない限りです。グリーンもきれいになりましたし、すこし模様替えしてみることにしました。棚を動かし、テーブルをセット。
植物たちも並べてみました。テーブルができることで、作業もしやすくなりますし、棚にきちんとガーデンツールを並べると、雰囲気も良くなることでしょう。来店されたお客様にも「ガーデニングされるんだ!」と思っていただき、話のきっかけになるかもしれません。天気が良い日は、お茶も楽しめそうですね。
ギャラリー内からもパチリ!!
「ヤル気の出るベランダになりました~!!!」と女鹿田さん。
きっと、素敵なスペースに成長して行くことでしょう。
本日のレッスン終了です。
「SOUKA草花」情報
島根県松江市白潟本町33出雲ビル4階
営業時間 13:00~19:00(11~3月は18:00まで)
定休日 木・金曜日 不定休
tel 0852-27-0933
URL souka-kusahana.com
展覧会情報
2013/11/16~27
福岡在住の「関 昌生」氏の針金細工の展覧会が開催されます。
大人も子供もとりこになりそうな「harigane」のオブジェをご堪能下さい。
講習後記
ビルの屋上の店舗とは聞いておりましたがまさか4階とは!
古いビルなので階段のこう配も急で用土を持って上がるのが大変でした。
オーナー様はその昔生花店で働いていらしたとか。!?そのためなのか、剪定の際も迷いなくハサミを入れておられました~。
「思い切りがいいですね!」と褒めると、
「すぐまた伸びるから!!」とのお答え。
まったくその通りですね。
お近くの方は是非一度足を運んでみてはいかがでしょう?クラシカルな建物も一見の価値ありです。