今回のマンツーマンレッスンは松江市内の小豆澤様からのご希望で、お庭づくりについてのレッスンをすることになりました。
小豆澤さんは、これまでもマンションで鉢植えでハーブを育てていらっしゃいました。この春から庭付きの借家に住むことになり、土を見ていたらなんだか無性に庭づくりをしたいという衝動に駆られたのがガーデニングに引き込まれたきっかけだとか。お庭での本格的なガーデニングはスタートしたばかりですが、引っ越して来てからご近所にハーブがたくさんのお家があったり、ご友人からハーブを譲っていただいた影響も大きいようです。
英語講師、ハンドメイドアクセサリー作家、二人のお子さんとピーターラビット?の母親として、妻として・・・一人で何役もこなしておられる小豆澤さん。
「なぜか多忙になればなるほど庭いじりがしたくなる・・・。」
とのこと、お庭の手入れをしつつ無心になって頭の整理をすることが良いリフレッシュになっておられるようです。
ずいぶん前からハーブには興味がおありで、エッセンシャルオイルなども暮らしに取り入れていらっしゃることもあり、
「効能のある植物に囲まれて生活したい。」
「とにかく花いっぱいの庭にしたい。」
と夢は膨らむばかりとか。
お庭は、南向きで日当り風通し良好。ガーデニングにはうってつけの環境ですが、もともと植えてあったコノテガシワが相当大きくなっており、かなり圧迫感があります。ツツジも数がありすぎてちょっと邪魔な様子です。ただ、借家のため剪定はできても撤去はしづらいという状況。でも土の状態は良い様子で、ミミズもたくさんいるようです。
コノテガシワは目隠しの意味もありますので、徐々に剪定しつつ、周りに好みの植物を植えて少しずつ目立たないようにしていき、ツツジもコンパクトにしたり、移植してまとめていくことでご自分なりのお庭に作り替えていけそうです。オレンジ色やビビッドな色、派手な色が好き!とご自分の好みもしっかり把握していらっしゃるのでお庭づくりもスムーズにいくでしょう。もともとあった草木も生かしつつ、自分の楽しみやすいお庭に作り替えていくのもガーデニングの楽しみの一つです。
今回、最初のご希望をいただいた際、セイジ類をたくさん植えたいというリクエストをいただきました。幸運にも、ちょうど別のお客様から、庭のレイアウト変更のため、どうしても処分しないといけないメキシカンブッシュセイジとラベンダーセイジがあって困っているという話が舞い込みました。これ幸いとセイジの株分けと植え込みをメインテーマとしてレッスンを行うことにしました。
これらのセイジ、少し寒さに弱いですので本当は植えるのにはベストシーズンではありませんが、ここ松江は今の時期から植えても結構大丈夫。春にはしっかりと新芽が出てくるでしょう。
ところが、生来の勉強熱心かつ好奇心旺盛でいらっしゃる小豆澤さん、お庭づくりに関する質問が次々と出て来ます。
「不格好に成長したラベンダーの修正方法はありますか?」
-ラベンダーに限らず剪定は花が終わった時にするのが基本です。この種類はフレンチラベンダーですので、今はもう花芽を作り始める季節になりますから剪定はできません。花が終ってから、株元に近い新芽の上で剪定しましょう。
「ローズマリー、こんな場所へ植えたのですが、良いでしょうか?」
-正直なところ、相手が生き物なのでケースバイケースというのが答えです。いろいろな要素(日射、土壌、気温、湿度、自身の庭づくりのイメージなど)が加わってくるので、これがベストという答えはありません。とりあえずは、自分の思うように植えてみる。その年の天気などによっても生育具合は左右されますので2、3年計画でゆったりとかまえるのがポイントです。
「花ガラの処理はどうすれば?」
-基本的には、花が終わればすぐ摘み取ること。種子を作るエネルギーを無くし、負担を軽くしてあげることが大切です。
また、こまめに花ガラを摘みとることによって、見た目が綺麗になるのはもちろんのこと、手入れをしてるという感じが伝わりやすくお庭のポイントアップにつながります。他のお庭の例ですが、上の写真が花ガラがついたまま。下の写真は花ガラ詰みをした後です。花ガラ摘みをすることで次の花も咲きやすくなります。
「レモンバームの剪定は?」
-今残っているのは古い枝と葉です。株元から冬越しして春に伸びる新芽が出ていますから、これを残して剪定しましょう。春以降収穫する時も枝ごと、下のほうから収穫したほうが新しい葉が楽しめます。
「バラの葉が虫に食べられているのですが?」
-秋口から冬にかけては、いずれ落葉するのであまり心配する必要はありません。ただし、春先からは成長・開花に関わりますので、よく観察して対応しましょう。
「つるバラの扱いはどうすればよいでしょうか?」
-上へ伸ばすのではなく、横のほうへ広げていきましょう。落葉したら誘引してみましょう。
「フェンス沿いにモッコウバラを植えたいのですがポイントは・・・?」
-定植場所はできるだけ深く掘り、早く成長させたいのなら肥料はしっかり入れましょう。少し花は遅くなりますが、早くフェンスを覆ってくれます。
などなど、ここでは紹介しきれないほどたくさんのご質問をいただきました。小豆沢様のお庭にかける熱意を感じつつ、回答させていただきました。
さてメインテーマのセイジの植え付けに入りましょう、今回は「メキシカンブッシュセイジ」と「ラベンダーセイジ」の大株を株分けした上で定植します。株分けの基本は、できるだけ根を傷つけないように行うこと。また、花をつけたままの株分けは避けます。ただ、「せっかく花が咲いているので」というご希望から、一株はそのまま花をつけたまま。ただし、花の後きっちり剪定していただくようにお願いしました。
株分けの場合、根が切れてしまうので、定植前にできるだけ剪定して負担を軽くしてやることが重要です。小豆澤さんも、古い枝や、メキシカンブッシュセイジの終った花茎を剪定する作業に挑戦。「こんなに切って大丈夫ですか?」と初めはややこわごわでしたが、すぐに慣れられて、てきぱきと作業は進みます。
続いてラベンダーセイジ。子育ての悩みなど、店長と共通の話題もあって、世間話も交えつつ和気あいあいと作業は進みます。
「庭の外側を紫の花で囲みたい」というご希望からフェンス沿いに定植していきました。本来ですと、肥料を加えたり、土壌改良をしてから植え込みますが、他の植物の育ちかたを見ると、相当肥料分もある様子。後で加えることもできますし、今回はとりあえずこのまま定植することにしました。
最後に水やりを「これでもかっ!」というくらいにたっぷりと与えます(ちょっと勢いが強いですね。優しいシャワーのほうがベターです)。数日後には雨マークがでていますので、それでおそらく大丈夫でしょう。
ついでに、お庭の中央に植えてあったレモンユーカリを移植。この場所では、大きくなったら大変なことになります(この地方でも放っておくと2階の屋根に届くぐらいに育つのです)。まだこのサイズなら移植ができますし、剪定して枝を増やしつつ、低めに育てるとコノテガシワの代わりの目隠しになってくれそうです。
充実したレッスン時間はあっという間に過ぎていきました。
「ガーデニングは、簡単だと思っていたけど、いざ自分でやってみると奥が非常に深い」とのご感想。
この熱意があればすぐに素敵なお庭ができることでしょう。
最後に、また質問などあればいつでもご連絡下さいと告げて、お宅をあとにしました。
お忙しい中、熱心に受講いただいた小豆澤さん、お疲れさまでした。
レンガに囲まれた一畳分程のスペースがありました。お話を聞くと中一の息子さんの菜園とのこと。夏場はきゅうり、トマト、ピーマンなどを見事に育てあげ、収穫されたそうです。現在はキャベツとはくさいが植えられていました。小さなころから植物を育てるのが好きだったそうです。でも管理は自分のテリトリーだけ。草取りの手伝いをお願いしても、「お母さんの庭でしょ!!」とスパッと断られてしまうそうです。面白いですね。
入居されてから植えられた玄関前の花壇。何にも植わってなくて殺風景だったのが華やかになったと大家さんもお喜びだとか。
借家のお庭の場合、意外なものがもともと植えてあったりして楽しい面もあります。フェンス際にムカゴを発見。この下には山芋が?
イヌホオズキも見つけました。ナス科の天敵、オオニジュウヤホシテントウを引きつけてくれます。
お家のウサギちゃん。ピーターラビットのモデルになった種類だとか。うんちもお庭で肥料として活用しておられます。そのせいか、草花も青々として元気です。