ハーブ用土のブレンド

ハーブ用土のブレンド(その1)では、ハーブ用土のブレンドに使うことの多い、基本的な素材についてご紹介いたしました。今回はいよいよ、実際のブレンドに挑戦してみましょう。

こんな土を目指しましょう。

やみくもに土を混ぜ始めても良い土のブレンドはできません。ひとつ、「こんな土がつくりたい」という目標を持ちましょう。

たとえば、次のような目標をもってブレンドするとうまくいきやすいでしょう。

持って、触って、気持よい

触って気持よい園芸の楽しみは植物、そして土とのふれあいです。良い土は、触って気持よく、手のひらからスムーズに鉢に滑り込みます。使っていて楽しくなるような土が理想です。香りがよいまた、良い土は香りも良いものです。臭く感じたりするようではせっかくの楽しい園芸が台無しですからね。

水の管理がしやすい

水の管理がしやすい水の管理がしやすいこと。これはとても大事です。一人一人にぴったりの土は一つしかない理由もここにあります。

日向に置くか、日陰に置くか、風の当り具合によっても水やりの頻度は違ってきます。水やりが好きなのに、風通しの悪い場所で、水はけの悪い土をつかっていると、根ぐされしやすいのは当然です。

一方で、普段とても忙しい人が、風当たりと日当りの良いベランダでそだてるとき、すぐに水が切れるような土では、乾燥で枯れてしまう可能性はとても高まります。なので、自分の水やりのペースにあうような土作りをすることが大事です。

また、水の管理という点で考えると、鉢との相性も考慮に入れたいもの。素焼き鉢に、水はけの良い土で植えるとなおさら乾きやすくなりますし、プラ鉢に水持ちの良い土で植えると、乾きにくくなります。

軽すぎず、重すぎない土

一般に、「軽い土」がよい土とされますが、軽すぎるのもまた考えものです。軽すぎる土は成長に「芯が無い」とか、育った作物に「力が無い」と言われます。おそらく、根が育っていくのに抵抗がなく、楽に根が伸びるのが原因かもしれません。また、背が高いものを植えた時に倒れやすかったり、水が切れやすかったりします。

軽すぎない土は、根が張るのに植物も一生懸命。頑張って伸びようとするので丈夫な株に育ちます。一方で重すぎる土は、鉢を移動する時に骨が折れたり、水はけが悪く、根腐れの原因となることもありますので注意しましょう。

ブレンドの内容を考える

シンプルなブレンド

さて、この講座の一番肝となる、ブレンドの内容です。書籍などでは、「赤玉土(または鹿沼土)6に対して、腐葉土4(7対3のこともあります)、これに化成肥料を混ぜましょう」というブレンドがよく紹介されています。

最もシンプルなブレンドこれで育たないことはありません。育ちます。ただ、ギリギリまでシンプルにしたブレンドです。これ以上省略できないブレンドとも言えるでしょう。

培養土の中身でも、市販されている培養土を見てみましょう。大抵は5種類またはそれ以上の素材が入っています。

シンプルなことも大事ですが、最低限のブレンドでは本気で育てるにはちょっと物足りない感じです。

シンプルなブレンドを元にして

とはいえ、ゼロからオリジナルのブレンドを作るのはとても手間がかかります。なので、この一番シンプルなブレンドを元にして色々な素材を足したり引いたりして自分ながらのブレンドを作ってみましょう。

たとえば、赤玉土腐葉土は、素材の中ではかなり高価な部類に入ります。用土をたくさん使うようになるとコストの面も考えなくてはいけません。そこで、容量で比較すると安価なピートモスやマサ土、もみ殻やそば殻を加えてみることも考えられるでしょう。

また、水はけを良くしつつ、水持ちも良くするために、バーミキュライトパーライトを加えたり、微生物のすみかとなりやすい炭を加えてみるというようなアイディアはどうでしょうか。

似たような素材を入れ替えてみるのも良いでしょう。赤玉土の変わりに、鹿沼土にしてみる(結構変わると思います)。小粒を中粒にしてみる、バーミキュライトの変わりにパーライトにしてみる。などが考えられます

とはいえ、あまり複雑すぎるのも考えもの。「作るたびに材料を揃えるのが大変・・・」というような土は良くないですね。手に入りやすい素材を使うというのも大事だと思います。

実は、当店のオリジナルハーブ用土も、スタートはごくシンプルなブレンドでしたが、10年以上をかけて少しずつ変更を加えていって現在のブレンドになっています。昨年もピートモスからココナッツピートに変更するという改良を行いました。おそらく今後もさらに変わるでしょう。

きちんと分量を記録しましょう

記録さて、良いブレンドを作ろうとする時に大事なことがあります。土を作る時には、きちんと分量を量り、記録しておきましょう。毎回毎回、気分でブレンドしていると、良い結果が出た時もフィードバックできません。また、きっと前のブレンドに戻りたいこともあるでしょう。特に、自分にぴったりの土が出来るまではきちんと分量をはかりましょう。計量カップ計量にはキッチン用の計量カップ(ステンレス製)がお薦めです。少し高価ですが、プラスチック製に比べると耐久性が違います。

お薦めのブレンド

お勧めブレンド
一例:やや肥料控えめ
ピートモス 4リットル
赤玉土小粒 4リットル
腐葉土4リットル
微生物肥料 1リットル
または、バーク堆肥2リットル
(化成肥料を使う場合は、
製品の説明にそった量を加えてください)
バーミキュライトまたはパーライトト 2リットル
クンタン 2リットル
マサ土(または川砂、桐生砂など) 6リットル

(参考)マサ土を減らすとより水はけがよく軽い土に、マサ土を増やすと水持ちがよく重い土になります。気になる人は石灰を加えても良いですが、加えなくても大丈夫です。素材の合計は23リットルですが、完成時には20リットルぐらいになります。

ブレンドの方法

用土を混ぜる

実際の混ぜかたは、ただ混ぜるだけで良いですが、均一でないところが少々あっても大丈夫です。バケツ混ぜる時には大きなバケツを使ったり、タライのようなものもよいでしょう。舟で混ぜるまた、左官さんがモルタルなどを練る時に使う舟も、たくさんの土を混ぜる時には便利です。泥が散らばりにくいそのまま鉢植えをする時にもこの中で作業を行えば土が周りに散らばりにくくて助かります。

ボウル少量ならばこういう大きめのボウルでも良いでしょう。当店でも少量だけブレンドを替える時に重宝しています。

軽い土と重い土を加える場合は、軽い素材を先に、重い素材をあとに入れると偏りにくく、比較的混ざりがよくなります。完成

保存方法

保存は基本的に、日陰の風通しの良いところが良いでしょう。あまり長く置いておくと乾燥しすぎたり、密閉した袋の中ですと苔が生えたり、有機物が多いとキノコなども生えることがあります。せいぜい半年ぐらいで使い切るようにすると良いでしょう。

その他

ベースになる土を作ってアレンジしましょう

自分にとっての基本の土が出来たら、それをベースにアレンジしてみましょう。たとえば、落葉樹の木陰をこのむニオイスミレなどには、腐葉土を多めに加えるとか、水はけを好むラベンダーには、パーライトを1.5倍にしてみる・・。など変化をつけてみましょう。その植物により適した土が出来上がります。また、乾きやすい夏は少し水持ちをよく、温度が低くて乾きにくい冬には水はけをよく、というようにブレンドを替えるのもよいでしょう。

市販の用土を活用する

花と野菜の土にプラスα慣れないうちは市販の用土を活用するのも賢いテクニックです。当店のオリジナルハーブ用土や、市販の土になにか他の土を加えてみるのも良いでしょう。 園芸店やホームセンターには「花と野菜の土」とか、「野菜の土」など、汎用の用土が販売されています。花と野菜の土に赤玉土をプラスαこれに赤玉土腐葉土を加えて肥料分を調節してみるのも良いですし、パーライトバーミキュライトなどを加えて軽めの土にしてみるのもよいでしょう。一般に、野菜の土には、ハーブを育てるのにはやや多い肥料が含まれています。(ただし、バジルのように葉を大きく育てるものにとってはちょうど良い場合もあります)。手軽に、バランスの取れた土を使いたいというケースにもお薦めできます。ただ、注意したいのが、汎用土は品質に幅があること。あまり安価な品は避けた方が安心です。

他にも、当店のオリジナルハーブ用土にさらに肥料を加えてローズ用の土としてお使いの方もいらっしゃいます。

終わりに

土作りはとても奥が深く、園芸において永遠のテーマです。でも、良い土が出来て、植物が良く育つなら、それは何にも代え難い宝物。試行錯誤を繰り返して、より良い土作りを目指しましょう。


いかがでしたでしょうか。もし、まだ良く分からないことがあるという方のためには初心者の方専用ホットラインをご準備いたしております。ご質問等お気軽にお寄せください。

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