目次
- ハーブは育ったけれど、収穫は?
- 収穫をスタートする時期
- バジルとラベンダーの収穫について
- ミントの収穫
- オレガノの収穫
- ローズマリーの収穫
- イタリアンパセリの収穫
- チャイブの収穫
- タイムの収穫
- レモングラスの収穫
- レモンヴァーベナの収穫
- セイジの収穫
- ブッシュバジルの収穫
- まとめ
ハーブは育ったけれど、収穫は?
ハーブが順調に育ってきたのでハーブティーやお料理に使おう!と思った時、さて、どこを収穫したらいいのか・・・と迷われる方も多いようです。
「あまりたくさん収穫すると枯れてしまわない?」
「葉っぱだけ収穫するの?それとも茎ごと?」
「どれぐらい大きくなったら収穫してもいいの?」
というように様々な疑問が湧いてきます。そのうえ、ついつい収穫しそこねて大きくなりすぎて困ってしまう・・・ということもよくあるようです。
そこで今回は栽培初心者向けハーブ鉢植えセットで植えたハーブをつかって収穫方法について学んでみましょう。
また、今回、サンプルで育てたハーブの苗は、あえて下記のような環境で育てました。そのため、必ずしもベストな環境ではなく、育ち方にも偏りが出ています。そのあたりも説明しましたのでご自分の環境と比べて参考にしてみてください。
日当たり:午前中はよく日が差し、お昼頃から少し影になり、夕方5時ぐらいには日が当たらなくなる
水やり:雨が当たらないので、乾いたら水をやる
肥料:鉢植えセットの土の中の肥料のみ。追肥はなし
風通し:風通しは比較的良い
栽培開始:5月下旬
収穫時期:7月上旬(開始からは基本収穫・剪定なし)
用土・容器:初心者向けハーブ鉢植えセット6号
また、今回ご紹介する方法は、あくまで「育てながら収穫する」ための方法です。主に葉を収穫して楽しむハーブが主体で、花を咲かせる種類はむしろそれほど手をかけないほうがよいでしょう。
そして「こうしなければダメです」と言うことではありません。趣味の世界ですから、好きにやってみるのもおおいに結構です。必要な場合は一気に全部刈り込むこともあるかもしれませんし、「毎日ミントの葉を一つづつ使いたい」というような具体的な希望がある場合は必ずしもこの方法に従う必要はありません。ただ、形が悪くなったり、どうも調子がおかしいというような時は一旦この収穫方法を試してみると軌道修正しやすいと思います。
収穫をスタートする時期
「植えてどれぐらいしたら収穫できますか?」という質問もよくいただきます。これは種類や季節によって様々ですので一概には言えませんが、おおよそ成長期ならば、植えて2週間ぐらいから根付いて成長が始まります。その後1週間ぐらいしたら少しずつ収穫してみましょう。全体の1/3ぐらいなら収穫してもその後の成長に影響が出にくいです。
スイートバジルとラベンダーの収穫について
ちなみに、一番よく尋ねられるスイートバジルについては、下記ページで詳しく説明していますので、下記のページを参考にしてみてください。
また、ラベンダーの収穫剪定についても、それぞれにページを作っておりますから、参考になさってください。
ミントの収穫(同じ方法でできるハーブ:レモンバーム)
まずはミント、代表的な種類の一つ、アップルミントです。ちょうど成長期にスタートしたので一気に大きくなりました。ただ、育て始めてから剪定をしていないので、枝分かれが少なくて上にばかり伸びています。また、花芽も見え始めています。花芽ができると葉も小さくなりやすく、ハーブティーなどにはやや不向きになります。
もう少し早いうちから剪定して新しい枝を伸ばすようにすればよかったですね。
収穫のポイント:枝ごと収穫、古い枝を減らして株元の新芽を伸ばす
お菓子やアイスクリームに飾る時は一枚だけ収穫することがありますが、徐々に見た目はわるくなっていきます。
先端だけ収穫すると、その下から二股に枝が分かれていきます。また、その先の葉は小さくなりがちです。
基本的には、葉っぱだけを収穫したり、茎の先端だけを収穫するよりも、できるだけ下の方から茎ごと収穫するのがおすすめです。このほうが、地際から顔を出している新芽が伸びやすく、フレッシュな葉をお楽しみいただけます。
また、夏前には下記のページのように下の方の葉から枯れあがってきます。これは避けにくいですから、思い切った剪定(場合によっては植え替えも)が必要です。
オレガノ(同じ方法でできるハーブ:マジョラム)
次にオレガノです。比較的順調に伸びています。乾燥を好むオレガノですから、乾燥した環境であるほど香りも良くなりますが、葉っぱは小さく、硬くなりやすくなります。もっと日陰だったり、水分が多いと、葉のサイズが大きくなっていたでしょう。茎も木質化し初めて赤茶色っぽくなり始めています。
また、ミントと同様、剪定をしなかったので、花芽をつけ始めています。オレガノは花も綺麗ですし、咲かせても良いのですが、やはり葉の勢いは衰えやすくなります。
収穫のポイント:枝ごと収穫。夏前には花が咲くのは避けにくい。その後の株元の新芽を伸ばすよう、古い枝を剪定
オレガノは、料理などに使うにしてもそれほど大量には必要ありませんから、日々は伸びた枝の先端を枝ごと収穫しても良いでしょう。
ただ、時々は古い枝から優先に株元2〜3センチで剪定することをお勧めします。収穫した枝は乾燥させて保存も可能です。
オレガノは、どんどん収穫していても、夏前の花の時期にはどうにかして花を咲かせようとします。こうなると、葉が小さくなったり、ミントのように下の古い葉から枯れ上がったりしやすくなりますが、それが普通です。株元から新芽が出始めていたら、古い枝をバッサリと剪定して、この株元の新芽を伸ばす方が今後、料理などに使いやすいでしょう。
ローズマリー
ローズマリーは一月で枝も徐々に伸び始めましたが、ローズマリーも木の仲間なので、成長はゆっくりです。ミントと比べると止まっているように見えるかもしれません。また、この環境ではすこし日照が不足しているようです。ちょっと葉に勢いがなく、節と節の間も間延びしている感じです。できればもう少し日当たりが良い場所で育てるとよかったですね。みずやりも多かったのかもしれません。
収穫のポイント:枝ごと収穫。形を整えるように。花を咲かせたい場合は剪定を控える
ローズマリーは、育つ環境や品種によって枝別れしやすかったり、枝分かれしにくかったりします。枝分かれしすぎると込み入ってしまい、蒸れの原因になったりします。一方で枝分かれしないと、枝の長さばかり伸びてしまいます。
そのため、枝分かれしすぎる場合は、枝の少し深いところで枝を減らすような収穫・剪定をしましょう。
一方で枝分かれしにくい場合は伸びた枝の先端を収穫してその下の芽を伸ばすようにして枝分かれを促進させるとよいでしょう。
今回のようにやや軟弱に育った場合は、可能なら徒長したところは剪定した上で、もう少し日当たりが良い場所に移してやる方が良いでしょう。
また、ローズマリーは花を楽しみたくて育てる場合も多いですが、その場合は特に初夏以降に伸びた枝は剪定せず放っておくほうが良いでしょう。「ローズマリーが咲きません」というご質問をいただく方の多くが収穫のしすぎで花がつく暇がないようです。
イタリアンパセリ(同じ方法でできるハーブ:チャービル、サラダバーネット、コリアンダー、リーフセロリ、フェンネル)
イタリアンパセリもかなり大きくなりましたが、パセリにとっては少し日当たりが強すぎたようです。風通しも良いので乾き気味になってしまったこともあり、葉が細く、厚めで硬くなりました。香りは強いですが、生で食べるには、もう少し柔らかい方がよいかもしれません。
これから夏の時期にかけてはもう少し直射日光が防げる場所か、または大きめのプランターで土が乾燥しにくいように育てた方がよさそうです。
収穫のポイント:外側の大きい、古い葉から収穫して株の中央の新芽を伸ばす。葉柄の下の部分で剪定。葉の収穫が主体なら花を咲かせないよう、こまめに
外側の大きい葉から収穫していきます。それによって株の中心の小さな葉が伸びてきます。収穫時は葉を支える柄に当たる部分・葉柄(ようへい)の下の方から収穫します。
イタリアンパセリは二年草なので、花を咲かせると種をつけて寿命を終えますが、収穫せずに放っておくと1年目でも花を咲かせてしまうこともあります。中央から出てくる新芽が、今までとは違う様子で真上に硬く伸びはじめた場合、花芽かもしれません。こういう花芽を見つけたら早めに摘み取りましょう。
日々収穫・剪定をし、また、極端に土を乾かさないようにして花芽をつけないようにすると良いでしょう。
花芽が付いてしばらくすると、ストップさせるのは難しくなります。開花を止められない状況になったら、花を咲かせて種子を取り、種まきをして新しい株を育てる方が良いでしょう。
チャイブ
ネギに似たチャイブは球根です。そのため、湿り気が多すぎたり、養分が多すぎると球根が腐りやすいので乾き気味が良いでしょう。目安としては、葉の先がちょっと黄色く枯れるぐらいでちょうど良いです。それぐらいだと香りも良く、葉も折れにくくしっかり育ちます。そういう点では今回は日当たりや水やりもちょうど良かったようです。
収穫のポイント:古い、太い葉から、地際で収穫。冬は地上部がなくなって球根で越冬するので、しっかり寒さに当てるようにする
外側の太くて古い葉から収穫していきます。収穫位置は地際で。初夏から夏にかけては葉の先端にネギ坊主がついて花が咲きます。花もまた可愛らしいですし、食べることができます。花が咲いたら種子が出来るまで待って、収穫、種を蒔いて増やすのも良いでしょう。秋遅くから徐々に葉が枯れてきて球根で越冬しますが、掘り上げる必要はありません。きちんと寒さに当ててやると、春にまた地下から葉が出てきます。
タイム(同じ方法でできるハーブ:セイボリー)
タイムも成長期と重なったので、割と順調に育ちました。ただ、枝数が増えて、今後の梅雨〜夏は風通しの面で心配が残ります。また、本来はもっと固い感じに育ちます。その方が香りも強いです。少し日当たりがたりなかったかもしれません。葉の色ももっとグリーンが弱く、グレーに近いのが本来の葉の色です。枝もやわらかめで、これ以上日当たりが弱いと倒れやすくなりそうです。
収穫のポイント:古い枝を減らすよう、また、形を整えつつ、込み入らないような剪定をしながら収穫。
タイムは小さなハーブですが、性質は「木」であることを覚えておきましょう。徐々に枝が硬くなって木質化してきます。また、蒸れを嫌うので枝が込み入らないように空けてやることが大事です。そのためには古い枝を剪定するように収穫しましょう。収穫は枝ごと。使うときは枝からしごき落とすと良いでしょう。また、形を整えるように気をつけながら横たわった枝などは取り除くと良いでしょう。
レモングラス
レモングラスにとってはまだ気温が十分でないので成長もいまいち。株が太る(分けつ)こともまだ見られません。日当たりも大事ですが、気温が高くなると目に見えて大きくなってくるでしょう。育ち方自体はそう悪くありません。なるべく根を深く伸ばした方がよく育つため、本当は6号鉢よりも大きい鉢の方が成長は良いでしょう。
収穫のポイント:小さいうちは大きい葉を根元付近から。成長期や、秋の最後の収穫時にはバッサリと刈り込む
まだ成長が十分でないので、あまり強く刈り込むと今後の成長にも影響しそうです。ハーブティーを少し楽しむぐらいならできそうですので、外側の大きい葉を根元付近から収穫します。
一方、大株になったら、バッサリと稲刈りをするように思い切って収穫しても大丈夫です。気温が高ければすぐに株の中央付近から伸びてきます。秋〜冬前の最後の収穫時にも強目に刈り込むと良いでしょう。
レモンヴァーベナ
レモンヴァーベナもレモングラスと同様、それほど大きくなっていません。ただ、レモンの香りはしっかりしています。蒸し暑い日が続くぐらいになるとよく成長しますから、これからの伸びに期待しましょう。葉もまだまだ小さめです。また、成長期には水もよく吸います。日に当てるとともに、水が切れないように水やりには注意しましょう。
収穫のポイント:成長期には大きい葉を下から、または枝ごと収穫も可。形を整えたり枝数の調整も考えつつ収穫する。
レモンヴァーベナは、成長期には葉も伸びやすいので、割と適当に収穫することができます。
少量だけ必要な場合は、下の方の大きくなった葉を収穫すれば、その葉の付け根から新しい葉が出てきます。
一方、枝を増やしたい場合は枝ごと剪定してやると枝数が増えます。また放っておくと枝数が少なく、長い枝が数本伸びるようになりますので、ある程度枝数を増やす剪定をしつつ形を整えると良いでしょう。
セイジ
上記の鉢たちとは少し遅れて植え付けたセイジも、活着して新芽が出てきました。環境も適当だったようでいい感じで育っています。タイムやローズマリーと同じく、木の性質を持っていますので成長は遅いですが、安定して育っている感じです。植え付けた時に大きかった葉が少し古くなってきました。いずれ、この古い葉は落ちてくるでしょう。
収穫のポイント:古い枝や葉を減らし、新しい芽を出すような収穫剪定を心がける
まずは、古い葉を剪定します。まだ使っても構わないですが、ちょっと色が悪いですね。剪定位置は、葉柄の付け根当たりです。もし料理に使うなら、もう少し上の方の大きい葉の方が良いでしょう。セイジは、普通はそれほどたくさん使いませんので葉を一枚単位で収穫しても良いでしょう。
また、成長のことを考えるなら、下の方の新芽を伸ばすよう、茎ごと剪定しましょう。
この作業を怠ると、下の方から徐々に木質化してきて、株元の葉がなくなってきます。収穫後はかなり小さくなった感じですが、また伸びてきます。
ブッシュバジル
高い気温が好きなブッシュバジル、この梅雨時期はすこし気温が低かったので、成長が遅めです。また、日照が不足していた分、やや間延びした感じに育っています。育てていた場所は問題ないようですが、今後の気温の上昇に期待したいところです。
収穫のポイント:形良くまとまると可愛らしいので、散髪をする要領で。鉢植えなら時々回してやると全面に日が当たり、形良く育ちやすい。こまめな収穫で柔らかい葉を楽しむ
ブッシュバジルはこんもりと、葉もぎっしりと育つ方が可愛らしいので、今は少し上に伸び過ぎぐらいです。茎ごと剪定、収穫して形を整えていきます。スイートバジルに比べると、場所はそれほど気にしなくてもいいでしょう。
また、下の方の古い葉が黄色くなり始めています。これらの葉はいずれは落ちますが、取り除いておくと良いでしょう。
また、放っておくと、葉が厚く、硬くなりやすくなります。できればこまめに収穫して新しい芽を伸ばすと柔らかいフレッシュな葉が楽しめます。
まとめ
ハーブを初めて育てるときには伸びてきても勿体なかったり、怖かったりで、収穫や剪定をためらいがちなものです。ただ、収穫することでハーブにとっては刺激になり新しい成長を促します。
むしろ、そのままにしておく方が古い枝が多くなったり、花芽がついて葉が小さく硬くなったりするというデメリットがたくさんあります。
加えて、収穫することで、育ち方や病害虫など、新たに気がつくことも多いものです。
是非ためらわず収穫してみてください。剪定して枯れるようなことはまずありませんから心配せずに。
収穫後、思い通りに成長してくれると、きっと上手になった気がしますよ!
いかがでしたでしょうか。もし、まだ良く分からないことがあるという方のためには初心者の方専用ホットラインをご準備いたしております。ご質問等お気軽にお寄せください。