大きなハードル
「初めてのハーブ鉢植えセット」を計画した時、一番大きなハードルとなったのが、土の袋詰め作業でした。
初めてのハーブ鉢植えセットは、5号、6号、8号サイズで3セットあり、それぞれに、量が違う土が3種類入っています。
もちろん、それぞれの土は、不足や余分がでないよう、正確に袋詰めしなければなりません。この作業が結構大変。量を正確にはかりつつ、該当する9種類の袋に土を入れていく作業は根気が必要です。実際、当店スタッフも、一時間ほど作業をしたら疲労困憊してしまいました。
また、土は生き物ですから、長期間袋詰めされたままですと吸水性が変化することもあるため、前もってたくさん作り置きすることもできません。
育苗作業や発送作業が集中する時期にこのセットを発売することは非常に難しいのではないかというのが当初、一番心配したことでした。
ハーブ鉢植えセットは、「障害者福祉サービス事業所こだま」さんの協力で実現しました。
同じような問題だった、苗を固定する台「ごむぱっちん」については、「発達障害 放課後等デイサービス・ピピ」さんで作っていただくことで解決したのですが、土の袋詰め作業は、「ごむぱっちん」と違って、作り置きができません。なのでピピさんに、夏休みや冬休みにお願いすることもできませんし、そもそも「ごむぱっちん」作りをお願いしているのに、これ以上依頼することはできかねる状態でした。
そこで、以前からお付き合いのあった「障害者福祉サービス事業所こだま」さんに相談したところ、こころよく引き受けていただけることになりました。
鉢植えセットの趣旨を説明し、試作品を作っていただきましたが、我々が期待していた以上の出来でした。あとでお聞きしましたが、袋詰めを楽に、正確に行うため、たくさんの工夫をされたようです。
実際に納品していただく際も、納品日にはお願いした数をきちんと揃えていただけて大変助かっています。袋詰めの品質もとても正確で、こだまの利用者さんと職員さんが力を合わせて丁寧に袋詰め作業していただいているのが伝わってきます。お願いして本当に良かったと思っています。
このたび、こだまさんから鉢植えセットづくりの作業の様子についての報告をいただきましたので、以下に紹介させていただきます。
障害者福祉サービス事業所こだまと、鉢植えセットづくり
春から始まった、SORAMIMIさんの鉢植えセットづくり作業はみんなが大好きな作業です。
私たちは、障害者福祉サービス事業所こだまです。
こだまは生活介護事業といって比較的障害の程度の重い方が利用する施設です。その中でも車イスを利用している方や、常時支援が必要な方たちで「ほんそご」班(注)をつくり、それぞれの方を大切にし一人ひとりが生き生きと活動できる場所づくりに取り組んでいます。
私たちは、障がいがあるから、障がいが重いからと受け身の生活をするのではなく、自分の意志で自分の生活を決めていくことを大切にしています。そうした考えから社会参加活動や作業活動にも力を入れていますが、いざ作業となるといろいろな制限があってこれまで十分なことができない状況でした。
そんな折にSORAMIMIさんから鉢植えセットづくり作業のお話があり、「ほんそご」班のメンバーにとっては願ってもない作業でした。
取り組んでみると、スコップで掬うときの「ザクッ」という音や、ナイロン袋に入れるときの「サラサラ」という音にとてもいい表情を見せてくれまました。そんな様子を見ると職員たちも一層はりきって、ザクッ・ザクッ、サラサラ・サラサラと大きな掛け声が必然的に出るようになってきました。
今では鉢植えセットづくり作業は、作業活動の大きな柱になっています。
毎月支給される工賃をもって先日近くのコンビニ買い物に行ってきました。大好きなエビセンやプリンを買っておやつに食べることができ大満足でした。
作業工程の紹介
鉢植えセットづくり作業の工程を紹介します。
1.シール貼り
土の用途にあわせて、ナイロン袋に1,2,4の番号シールを張っていきますが、「ほんそご」班の中には、シール貼り職人がいます。No.1シールの貼ってある台紙を手のひらでヒラヒラと振りながら、一枚一枚はがして職員に手渡します。その優雅な手の振りは誰にもまねのできない特技です。
2.土入れ作業
土の容量によってペットボトルを定量だけ入るようにカットしています。籠の中に10個並べてありますが、その中に土を小さなスコップで掬って入れていきます。沢山入ると表面をならせば一定量の土が入るようになっています。ザクッ、ザクッという土の音がみんな大好きです。
3.ナイロン袋に入れる
ペットボトルに計量された土を、番号の貼ってある袋に入れていきます。お米を入れるときに使う大きな漏斗をセットして移します。ザザザと漏斗からナイロン袋に流れれていく快感は、なんだか大きな達成感を感じさせてくれます。「ヤッター、入った」といったところでしょうか。大きな口の漏斗ですので、誰もができる作業になっています。
4.ポットにセット
袋詰めが終わると、それぞれのポットの大きさにあわせてセットしていきます。1、2、4の番号を確認しながらていねいにセットします。
5.納品
納品日にはSORAMIMIさんに納品に行きます。ハーブが大きく育つよう願いながら納品します。車から降ろす作業も、みんなが協力して行っています。
特定非営利活動法人こだま(公式ホームページ)
(注)
「ほんそご」とは出雲弁で、「最愛の子」と言う意味です。子と言うと子どもを想像しますが、子という意味には「両親の間に生まれた人」という意味があります。「両親、家族、そして社会から、いつも愛される人であれ」という思いから名付けています。(出典 NPOこだま こだま通信第28号より)
こだまさんの協力なくしては、「ハーブ鉢植えセット」も皆様にご紹介できなかったかもしれません。
いつも当店の無理な注文依頼に頑張って答えていただいているこだまさんにスタッフ一同感謝しております。また、丁寧な仕事にはいつも感心させられています。
今後ともこだまさんにご協力いただきながらハーブ鉢植えセットをよりよい製品にしていくよう頑張ってまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。
なお、この袋詰め作業、こだまさんのご厚意で引き受けていただいておりますため、製作量に限度がございます。
もともと需要の多い園芸シーズンに一度に大量のご注文をいただいた場合など、少しお時間がかかる場合もございます。何卒ご了承願います。