夏越しはとても大事です
いよいよ夏本番。近年は年ごとに暑さが厳しくなるようで、我々も熱中症に気を付けたり、夏バテしないよう気を使うなど、結構大変ですが、それはハーブたちも同じ。熱帯や亜熱帯が原産で暑いの大好き!というバジルやレモングラスなどは別としても、原産地が涼しい種類などは、冬越しよりもむしろ夏越しが難しいもの。どうやって夏を乗り越えさせるかが、長く上手に育てるポイントです。
寒さに対しては、わらや腐葉土、ビニールなどでマルチをかけてやったり、軒下に移動させるなどの防寒対策が比較的簡単にできますが、暑さに対してはまさかエアコンをかけた部屋の中でと言うわけにもいきません。
強い日差しからハーブを守る
そこで、比較的実行しやすいのが、日差しを遮ることです。我々人間も帽子をかぶったり、日傘をさしたりするように、直射日光を遮ってやるだけでずいぶん植物も楽になります。
特に、真昼の直射日光、そして午後気温が上がって以降、夕方までの西日は暑さに弱いハーブは是非遮ってやりたいものです。
また、春までは日陰だった言えの北側が、夏になって太陽の高度が高くなることで午後強い日ざしを受けるようになることも良くあります。今まで日陰で涼しく過ごしていたものが急に午後の強烈な日射を受けて弱るパターンは夏よく見られます。注意しましょう。
日陰を作る方法
理想的な日陰は、上の写真のような木漏れ日のある場所ですが、そのような恵まれた環境をハーブのために使える人は稀でしょう。
でも、工夫次第でハーブに取って心地よい日陰を作ることが可能です。
最初に、比較的簡単にできるのはよしずなどで直射日光を遮ってやることです。立てかける場所さえあればできますし、サイズも色々ありますから、うまく組み合わせると、良い日陰が簡単に作れます。
また、春からきちんと準備して、専用のグリーンカーテンを育てておくのもいいですね。
次に、寒冷紗も園芸では昔から使われて来た日よけです。細かい編み目のようになったごく薄い布で、通気性があります。素材も色々あり、天然繊維で作られたものや、フィルム状のもの、色も白や黒、銀色で日差しを反射するものもあります。編み目のサイズで、光の透過率も異なります。ロープや紐で固定しますが、専用のフレームなども市販されています。
思うように張るには少しコツもいりますが、アウトドアがお好きな方なら、タープなどで同じような日陰を作ることをご存知だと思います。もし、友達や、ご主人など、アウトドアがお好きな方がいらっしゃったら「タープ張れるんでしょ!寒冷紗も張ってよ!」とお願いしてみてはいかがでしょう。
ただ、気を付けたいのは、台風のシーズンです。飛ばされる恐れがありますので、台風の前には片付けておくことが大事です。
もちろん、建物でできる日陰も活用しない手はありません。場所を変えることで今までうまく育たなかったものが調子よく育つようになることもあります。いろいろ試してみましょう。
地面からの熱を防ぎましょう
夏のアスファルトの熱さは皆さんご存知でしょう。地面に近い植物たちはなおさら地面からの熱を受けやすい状況です。
地植えならば、株元にわらやウッドチップなどを敷いて照り返しを防ぐとともに、株元の地温の上昇を防ぎましょう。強い雨による土の跳ね返りも防げますし、土壌の湿度も安定します。上の写真は、手前が麻布によるマルチ、奥はココナッツチップによるマルチです。
鉢植えなら、地面(特にコンクリートなど)に直接置かないことも重要です。断熱性の発泡スチロールを下に敷くだけでもかなり違います。
また、地面と隙間を空けて、鉢の下の通気性を良くしてやることもおすすめです。
レンガを並べて、その上に鉢を置くのも良いでしょう。
すのこは断熱性の点からもおすすめです。
直接鉢を置くと、ナメクジなどのよい住処になることもありますからそういう意味でもお勧めしたい方法です。
エアコンの室外機には要注意
案外盲点なのが、エアコンの室外機からでてくる風です。
我々が快適に過ごすために必要なエアコンですが、その室外機からの風は植物にとっては危険が一杯。
室外機の風がハーブたちに当っていないかチェックしてみましょう。場合によっては半日とか、一晩で室外機の前の植物がダウンしてしまったという例もあります。
たとえば、暑さに比較的強いローズマリーでも、室外機の前では相当なダメージを受ける恐れがあります。
鉢カバーも有効に活用しましょう
夏の強い日射が鉢に当たると、鉢は非常に高温になり、根に大きなダメージを与えることがあります。
鉢カバーをお持ちの場合は、是非直射日光が当たらないよう、カバーをつけて直射日光を防ぎましょう。
人気の初めてのハーブ鉢植えセットにも、専用の鉢植えセット専用木製鉢カバーをご用意しております。
補足
また、鉢の素材や色によっても暑さへの対策ができます。
通気性の良い素焼きの鉢は、蒸れに弱いハーブにとっては有効です。ただ、熱が伝わりやすいという短所もあります。その点プラスチックの鉢は熱を伝えにくいですが、通気性の点では劣ります。
鉢の色も、光を吸収しやすい黒っぽい色よりも、光を反射する白い鉢のほうが中の土が暑くなりにくく、根の負担も減ります。
加えて、大きい葉を広げておくのは植物にとってはかなり負担です。いつもしおれてしまうようなら少し葉を剪定して、葉から出て行く水分を減らすようにしてみましょう。
夏越しは小さな工夫をすることで、ずいぶん効果が上がります。「うちは暑いから」とあきらめないで、色々試してみましょう。涼しくなった頃に、きっと違いが現れることでしょう。
いかがでしたでしょうか。もし、まだ良く分からないことがあるという方のためには初心者の方専用ホットラインをご準備いたしております。ご質問等お気軽にお寄せください。