植える場所からハーブを選ぶ
前回は、育てる目的からハーブを選ぶ方法をご紹介しました。もう一つの選び方として、植える場所から選ぶという方法もあります。
植える場所から選んでいくと、その環境にあったハーブを選ぶことで、より育てやすいというメリットがあります。
せっかく植えるのですから、よく育ったほうが嬉しいもの。特に初めて育てる場合ならなおさらです。
地植えの場合
地植えの場合、植える場所の日当たりや、風通し、水はけなどによってその場所に会うハーブ、合わないハーブがあります。乾燥を好むハーブ、湿り気を好むハーブ、日陰を好むハーブなど、性質に応じて植えてやるとうまくいきます。
また、最初のうちはその場所がどういった性質か分かりにくいこともあります。何種類か植えてみて、よく育つ種類がわかると、その種類に近いハーブならうまくいきやすいものです。そのようにして育てる場所の特性を判断する方法もあります。
たとえ、小さなお庭でも、建物や樹木によって日照や風の当たり具合も違ってきます。まずはご自分の植える環境をよく観察してみることも大事です。
ときには、「この場所に何か植えたいけれど・・・」と思うこともあると思います。「いままで植わっていたハーブが枯れてしまって代わりに何か植えたい」というようなケースが多いですが、今までよく育っていたものに近い種類ならうまくいきやすいものです。
一方で、うまく育たなかった場合は、思い切って少し性質が違うものに変えてみると案外よく育つこともあります。
鉢植えの場合
鉢植えで育てることができるハーブもたくさんあります。さすがに背丈を越えるような種類については初心者では取り扱いが大変ですが、多くのハーブは大丈夫です。
鉢植えは地植えに比べると水やりなどの手間はかかります。その代わり、季節に応じてより良い場所に移動することもできますし、ベランダなど、スペースに限りがある場合でもハーブ栽培を楽しむことができます。
こちらの場合も、日当たりや風通しなど、鉢を置く場所の環境に応じてハーブを選ぶと良いでしょう。
特に高層階のベランダでは、強い風による乾燥に耐えるよう、乾燥を好むハーブの方がうまくいきやすいようです。また、大きめの鉢を選ぶことでも乾燥しやすい場所でも育てやすくなります。
現在開催中の「ハーブフォトコンテスト」にも、鉢植え部門として全国各地のお客様が鉢植えで育てたハーブたちの写真を紹介しております。参考になる点もたくさんあると思いますので、ぜひご覧ください。
室内栽培
さて、「キッチンでハーブを育てて・・・」というのは雑誌やネットでもイメージとしてよく見かけるシーンです。でも、特に初心者の場合、室内での栽培は結構難しい点が多いものです。
まず、室内では日照が限られます。一般に日当たりを好む種類が多いハーブは、日当たりが不足するとひょろひょろと、弱々しく育ってしまいがちです。そして、病害虫の心配も増えます。もともと自然に生えている種類も多いので、太陽や、風、雨にしっかり当てるほうがよく育ちます。
どうしても屋内で育てたいという場合は、水や肥料を与えすぎないよう気を付け、時々外に出したり、複数の鉢植えを育ててローテーションしてやると良いでしょう。
参考
当店ブログ、「SORAMIMIハーブショップ別館」の、「こんな場所にはこのハーブ」というコーナーで、いろいろな場所でよく育ったハーブやワイルドフラワーを紹介しています。選ぶ際の参考にしてみてください。
再確認
さて、育てる目的、または育てる場所からハーブを選ぶことができたでしょうか。
ほぼ決まったという方も、次の2点についても確かめておくと良いでしょう。
育てる地域について
たとえば、暑いのが大好きで寒さに弱いレモングラス、沖縄なら簡単に育ちますが、北海道など寒冷地では冬越しが大変です。一方で北海道でよく育つ種類のラベンダーを沖縄で育てようと思うとそれなりの工夫が必要です。あえてチャレンジすることも良いと思いますが、初めて育てるなら環境にあった種類の方がよいでしょう。
目安として、当店のホームページで「耐寒性」とあるものは、寒さに強く、冬に氷点下に下がっても(マイナス15度とかになる地域は別ですが)まず大丈夫です。「半耐寒性」とあるものは零度前後までは耐えるものが多く、「非耐寒性」とあるものは零度以下にしない、北風や霜に当てないという工夫が必要です。
また、周りに植えている人がいるかどうかも、その場所で育てやすいかどうかの目安になります。
植える時期も大事
冬にバジルを植えたいと思っても、苗を見つけることさえ困難です。一般に苗が出回るのは、その種類の植えどき(またはその少し前)です。地域によっても違いますが、あまり早く植えてもうまくいかないことが多いです。もし近くにハーブを育てるのが上手な人がいれば、ぜひ植えどきを聞いてみると、その地域の植えどきがよくわかります。
また、もう一つのポイントとしては、開花中のものは、実は育てにくいことが多いです。開花前か、開花後の方が根付き易いことは知っておきましょう。
まとめ
実は、この2回で述べたことに沿って、全てにぴったりのハーブを選んだからといっても、相手は生き物、絶対ではありません。
実際、我々プロでも、「ここには向かないかも・・・」と思って植えたのが予想外によく育ったり、「このハーブなら大丈夫だ」と自信を持って植えたのがなぜか枯れたりということがあります。
でも、悩み続けているよりは、「これを植えてみたい!」と思うものにチャレンジすることの方が大事です。
もし失敗しても、うまくいかなかった理由をきちんとわかることができれば、きっと次は大丈夫。失敗もまた上手に育てられるようになるための勉強になります。
それでも決められない・・・という人は
もし、まだ良く分からないことがあるという方のためには初心者の方専用ホットラインをご準備いたしております。どうしても選べない・・・。疑問が残って・・・という皆様、ご質問等お気軽にお寄せください。