斑入りハーブの魅力
ハーブに限らず、斑入りの植物には根強い人気があります。
花がないときでも個性的な葉が楽しめますし、鮮やかな葉は鉢植えでも地植えでも周囲を明るい雰囲気にしてくれます。
特に冬から春初めにかけては葉の色が鮮やかになり、色彩が乏しい季節、なおさら重宝するものです。
もちろん、ハーブの仲間にも斑入りの種類はたくさんあります。
パイナップルミントは代表的な斑入りのハーブですし、タイムの仲間やニオイゼラニウム、セイジの仲間に多く、数は少ないとはいえローズマリーやラベンダーにも斑入りの種類があったりします。
また、白だけでなく、黄色に変わったり、寒さで赤みを帯びたりしてなおさら鮮やかになる種類もあります。
先祖返り
さて、斑(ふ)は、もともとグリーンだった葉が突然変異などで葉緑素がなくなったりしてできたものです。
そのため、時に、本来の緑の葉に戻ってしまうこともあります。「先祖返り」などと呼びますが、斑が入った葉の中に、突然グリーンの葉が出てきます。
この写真は斑入りのローズマリーの「ゴールデンレインローズマリー」ですが、株の左側が先祖返りしてしまいました。
困ったことに、斑のない葉は勢いが強いため、徐々に斑入りの部分を圧倒しやすいのです。
そこで、斑のない葉が出てきたら、定期的に取り除いてやらなくてはいけません。
斑入りハーブの剪定に適したシーズン
ところが、暑い季節はこの斑が目立ちにくいのです。種類によっては完全にグリーンに戻ってしまい、また寒くなってくると斑が現れてくる種類もあって、さらに判断に困ります。
その点、冬は斑入りの葉が鮮やかで、グリーンの葉との見分けがつきやすいですから、剪定するには適したタイミングです。
この季節きちんと剪定して、来るべき園芸シーズン、目一杯斑入り葉を楽しみましょう。
レディプリマスゼラニウムの剪定
レディプリマスゼラニウムは、葉の周りに美しい斑が入り、花の時期だけでなく、年中目を楽しませてくれるゼラニウムです。甘いローズの香りの葉で、ニオイゼラニウムの中でも人気の品種です。
ただ、この株は、先祖返りした枝がずいぶん成長してしまいました。
斑入りの葉とグリーンの葉がごっちゃになってあまり美しくありません。
でも、元の方をたどってみると、斑入りの葉が出ている枝と、グリーンの葉が出ている枝がはっきり分かれます。
しかも、グリーンの葉が出た枝は、地下から伸びています。
ゼラニウムの場合は、この様に株元の根から出た枝が先祖返りしやすいものです。
そこで、グリーンの葉が出ている枝を地際から剪定します。剪定は、グリーンになった葉だけでなく、その葉が生えている枝も剪定しないと、またその枝からグリーンの葉がでてきます。
出来上がりはこんな感じになりました。斑入りの葉だけになって、さっぱりしました。
シルバータイムの剪定
タイムの中でも特に美しい葉を持つシルバータイム。斑入りのタイムの中では比較的斑は安定していますが、ときにグリーンの葉に戻る部分もできます。
拡大してみるとこんな感じ。まだらになってしまって格好悪いです。
タイムの場合、上のゼラニウムと違うのは、近から伸びた枝だけでなく、地上部の枝から伸びた場所が先祖返りしてしまう点です。
そのため、ゼラニウムに比べると、剪定する箇所が判断しにくいです。ちょっと厄介ですが先祖返りした葉の枝の下の方をたどってみましょう。
やや慣れも必要ですが、丁寧に枝の上の葉を見比べて、「ここで別れたかも」と言う場所を見つけましょう。そして、枝分かれしたすぐ上で剪定しましょう。
出来上がりです。
先祖返りがひどい時には
はじめの方で例に挙げたゴールデンレインローズマリーのように、株の大半が先祖返りしてしまった場合は、残念ながら全体が元に戻る可能性はかなり低いです。その場合は、斑が残っている部分を使って挿し木を行って更新するのが良いでしょう。先祖返りが始まって何年も経つと特に戻りにくくなります。早期発見が大事です。
まとめ
今回は一番わかりやすい冬に剪定しましたが、他のシーズンでも明らかに先祖返りとわかる葉を見つけた時は同様に剪定してみてください。
美しい葉を持つがゆえに、ちょっとデリケートな斑入り植物。きちんとケアしてやることで、今年もしっかりあなたの目を楽しませてくれるはずです。
いかがでしたでしょうか。もし、まだ良く分からないことがあるという方のためには初心者の方専用ホットラインをご準備いたしております。ご質問等お気軽にお寄せください。